- 初版:2018年12月
- 第二版:2019年12月
- 第三版:2022年3月
はじめに
本エントリーはMicrosoft Azure Stack Advent Calendar 2018の3日目です。
先日のエントリでは、Azure Stack Hub のユースケースについて説明しました。本エントリ以降では、Azure Stack Hub そのものについて説明していきます。
2種類の Azure Stack Hub
Microsoft は、2種類の Azure Stack Hub をリリースしています。Integrated systems と Development Kit です。2つの大きな違いは、用途と対応するハードウェアです。
- Azure Stack Hub Integrated systems
- 製品版の Azure Stack Hub
- OEM ベンダから購入する
- Azure Stack Hub Development Kit
- 評価版の Azure Stack Hub
- Microsoft がソフトウェアのみを公開している
- Integrated System 上で動作しているソフトウェアとほぼ一緒。ただし、違う個所もある
- 前提条件を満たすハードウェアであれば、どのベンダのサーバにもインストールできる
Integrated System の特徴
本エントリでは、Azure Stack Hub Integrated systems の特徴をざっくりと説明します。Development Kit には無い Integrated systems 固有の特徴は次の3点です。
- OEM ベンダが決まっている
- ハードウェア構成が本番を想定している
- メーカのサポートを受けられる
1. OEM ベンダが決まっている
Azure Stack Hub Integrated systems は、Integrated systems を販売できるOEM ベンダが決まっています。現時点で Microsoft の公式サイトにパートナして載っている OEM ベンダは次の通りです。これらの OEM ベンダからのみ Azure Stack Hub Integrated systems を購入できます。
OEM ベンダ | 参考リンク |
---|---|
Cisco Systems | Cisco Integrated System for Microsoft Azure Stack データ シート |
Dell Technologies | DELL EMC CLOUD FOR MICROSOFT AZURE STACK |
Hewlett Packard Enterprise | HPE ProLiant for Microsoft Azure Stack |
Lenovo | ThinkAgile SX for Microsoft Azure Stack Datasheet |
WORTMANN AG | TERRA FOR MICROSOFT AZURE STACK |
ハードウェア上で動作する「Azure のサービスを提供するソフトウェア」は Microsoft によって開発されているため、すべての OEM ベンダの Azure Stack で共通です。OEM ベンダによって差異が出る部分は「サーバの構成」と「運用管理の仕組み」です。CPU の種類やメモリ量などのハードウェア構成を自由に選べる OEM ベンダと、事前に構成されたパターンから選択する OEM ベンダが存在しています。また、ハードウェアの運用管理には OEM ベンダ独自のツールを利用するので、OEM ベンダごとに特色が出ます。これらの差異を理解したうえで、自分にあった OEM ベンダから Azure Stack Hub を買いましょう。
2. ハードウェア構成が本番を想定している
製品版である Integrated systems は、本番での利用を想定したハードウェア構成になっています。Integrated System を構成するハードウェアは原則として次の通りです。
- Host Node
- Azure のサービスが動作するサーバ
- 現時点で4台から16台までをサポート
- Hardware Lifecycle Host
- OEM ベンダの運用管理用ソフトウェアが動作するサーバ
- 1台
- Top-of-rack Switch
- Host Node と顧客ネットワーク機器を収容するスイッチ
- 2台
- BMC Switch
- HLH と各サーバの Baseboard Management Controller を収容するスイッチ
- 1台
引用:Azure Stack 受け入れ準備_20180630
ただし、UCS を利用している Cisco Systems の Azure Stack Hub の場合、他の OEM ベンダの Azure Stack Hub と違う点があります。Cisco systems の Azure Stack には Hardware Lifecycle Host が存在しません。そのかわりに ハードウェアの運用管理に Fabric Interconnect が利用されています。また BMC Switch が2台に冗長化されています。
3. メーカのサポートを受けられる
製品版である Integrated systems は、Microsoft と OEM ベンダによるサポートを受けられます。Micorosoft のサポート範囲は Azure のサービスを提供するためのソフトウェアです。OEM ベンダのサポートは、ハードウェアと運用管理用のソフトウェアです。
OEM ベンダのサポートは、従来のハードウェア・ソフトウェアサポートと同じです。特筆すべきは、Microsoft のサポートです。従来の Microsoft のオンプレミス製品のサポートを受けるためには、プレミアムサポートが必要でした。ですが、Azure Stack Hub のサポートを受けるためには Azure のサポート契約が必要です。プレミアサポートは必須ではありません。
おわりに
本日のエントリーでは、 Integrated systems と Development Kit という2つの Azure Stack Hub に触れたうえで、Integrated systems の基本的な特徴を説明しました。明日のエントリーでは、もう1つの Azure Stack である Development Kit について説明します。