Azure Stackの費用

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Published: 2018-07-02

Azure Stackの費用について何度か質問を受けたのでまとめます。参考とした公式ドキュメントは次の通りです。多分あってる。なお、Azure Stackの購入を検討される際は、OEMベンダとMicrosoftのライセンス担当から最新の情報を入手したうえでご判断ください。

3番目のドキュメントはエンドユーザ向けです。サービスプロバイダとして1つのAzure Stackを複数のエンドユーザに提供する場合は、次のライセンスガイドを熟読するのをお勧めします。

料金の構造

Azure Stackを利用する上で考慮すべき費用は次の4つです。

  1. ハードウェア費用
  2. Azure利用料
  3. OSのライセンス費用
  4. サポート費用

ハードウェア費用

Azure StackはOEMベンダによって販売されます。Azure Stackの購入にあたってOEMベンダに支払うお金がハードウェア費用です。複数のOEMベンダがAzure Stackを販売しているので、OEMベンダごとに費用が異なります。OEMベンダによっては、従来のサーバような「ハードウェアの初期費用+保守5年で買い切る」方式だけでなく、ハードウェアを従量課金で利用することもできます。

従量課金の例:ハイブリッドクラウド環境を実現するMicrosoft Azure Stack 対応新製品と関連サービスを発表

なお、便宜上ハードウェア費用と名付けましたが、ハードウェア費用の中には保守費用や運用管理ソフトウェアのライセンスも含まれます。

Azure利用料

Azure Stack上で動作するAzureは有料です。課金モデルは「従量課金」と「キャパシティ課金」の二つです。従量課金では使ったリソースに応じた金額が請求されます。キャパシティ課金ではAzure Stackを構成する物理サーバのコア数に応じた金額が請求されます。

支払い方法は「CSPサブスクリプション」と「EAサブスクリプション」のいずれかです。「PAYGサブスクリプション」は利用できません。

課金モデルと支払い方法の関係性は次の通りです。キャパシティ課金はEAサブスクリプションでのみ利用できます。

CSPサブスクリプション EAサブスクリプション
従量課金 OK OK
キャパシティ課金 NG OK

Azure利用料 従量課金

リソースの使用量に応じて課金される形式です。Azure Stackがインターネットと通信できる場合に従量課金を選択できます。Azure Stackがインターネットと通信できない場合、従量課金を利用できません。これは従量課金の計算がAzure側で行われるためです。Azure Stackはリソースの使用量をAzureに報告するだけです。使用量に応じた費用の集計や請求処理はAzure側で実施されます。

Azure StackのVirtual MachineとApp Serviceは、vCPUの数に応じて料金が決まります。どのSKUを選んでもvCPUの数によって料金が決まります。SKUごとに費用が決まっているAzureとは異なります。また、ストレージのトラントランザクション費用とデータ転送量が無料であることもAzureと異なる点です。

サービス 種類 料金
Azure Virtual Machines ベース仮想マシン ¥0.90/vCPU/時間 (¥655 vCPU/月)
Azure Storage Blob Storage ¥0.68/GB/月 (トランザクション料金なし)
Azure Storage テーブルとキューのストレージ ¥2.02/GB/月 (トランザクション料金なし)
Azure Storage Standard 非管理対象ディスク ¥1.24/GB/月 (トランザクション料金なし)
Azure App Service Web Apps、API Apps、Functions ¥6.28/vCPU/時間 (¥4,579 vCPU/月)

Azure利用料 キャパシティ課金

Host Nodeのコア数に応じて課金される形式です。Azure Stackがインターネットと通信できない場合、Azure側で従量課金の計算ができません。そのため、インターネットと通信できないAzure Stackでは、キャパシティ課金のみを利用できます。従量課金は利用できません。

コアあたりの価格は次のとおりです。App Serviceを使うかどうかで値段が変わります。

区分 料金
App Service Package $400/core/year
IaaS Package $144/core/year

OSのライセンス費用

Azure Stackで動作する仮想マシンのOSにかかる費用は、Windows ServerとWindows Server以外によって課金体系が異なります

Windowsサーバ 従量課金

Azure利用料を従量課金とした場合、Windows Serverのライセンス費用も従量課金にできます。Windows Serverのライセンス費用も従量課金にした場合の仮想マシンの費用は次のとおりです。

サービス 種類 料金
Azure Virtual Machines Windows Server 仮想マシン ¥5.16/vCPU/時間 (¥3,761 vCPU/月)

従量課金の場合CALは不要です。Azureと同じです。

Windowsサーバ コア課金

ライセンスの観点だとAzure Stackはオンプレミスのシステムとして扱われます。そのため、従来のHyper-V仮想基盤で採用される「物理コア分のwindows serverライセンスを買うことで、ゲストのWindows Serverのライセンスにあてる」作戦に対応しています。コア課金とする場合、リージョンを構成する物理サーバのコア数をカバーするライセンスを調達する必要があります。コア課金の場合はCALも必要です。

Azure利用料が従量課金とキャパシティ課金のどちらであっても、Windows Serverのコア課金を利用できます。ただし、Azure利用料をキャパシティ課金とした場合、Windows Serverのライセンスはコア課金一択です。

Windows Serverをコア課金にすると、Windows Serverの仮想マシンであっても「ベース仮想マシン」として扱われるので、従量課金の費用が少なくなります。

なお、Azure Stackはオンプレミスのシステムとして扱われるため「Azure Hybrid Use Benefit」には対応していません。

Windows Server以外

Azure Stackには従量課金なSQL Serverが存在しません。Azureとは異なるのでご注意ください。Azure StackでSQL Serverを利用する場合、ライセンスを持ち込む必要があります。ライセンスの買い方は「リージョンを構成する物理サーバのコア数」と「仮想マシンの仮想コア数」の両方をサポートします。

マーケットプレイス連携によって、Azureで利用できるサードパーティ製品の一部はAzure Stackでも利用できます。ただし、サードパーティ製品を利用する際は、ライセンスを別途調達して持ち込む必要があります。いわゆるBYOLです。Azureでは従量課金に対応しているRed Hat Enterprise Linuxであっても、2018年6月現在、Azure StackではBYOLのみ利用できます。

サポート費用

ハードウェアのサポートはハードウェア費用に含まれます。困ったときの問い合わせ先はOEMベンダです。

Azure Stackというソフトウェアのサポートは、利用するサブスクリプションに応じてサポートの契約先が異なります。EAサブスクリプションの場合は、Microsoftと直接サポート契約を結びます。困ったときの問い合わせ先はMicrosoftです。Azureのサポートとプレミアムサポートが利用できますので、Azure Stackの重要度をかんがみて適切な費用を払いましょう。

CSPサブスクリプションの場合、Cloud Solution Providerとサポート契約を結びます。困ったときの問い合わせ先はCloud Solution Providerです。サポート費用はCloud Solution Providerによって異なります。