はじめに

Build 2025 にあわせてクォータグループという機能が突然 GA しました。

Generally Available: Azure Quota Groups

クォータグループを使うと、従来はサブスクリプション単位で管理していたクォータを、より上位の概念で管理できるようになります。具体的には次の2つの機能を利用できます。

• サブスクリプションで未使用のクォータを別のサブスクリプションに転送する
• 複数のサブスクリプションで利用するクォータの申請をまとめて１度で済ませる

動作を確認するために、実際に試してみました。

事前準備

クォータグループでクォータを管理したいサブスクリプションに、Microsoft.Quota リソースプロバイダを登録します。リソースプロバイダが未登録の場合、クォータグループにサブスクリプションを登録しようとしてもエラーになります。

クォータグループの作成

クォータグループは、管理グループ配下のリソースです。クォータグループのリソース ID は以下のようなフォーマットです。

/providers/Microsoft.Management/managementGroups/platform/providers/Microsoft.Quota/groupQuotas/quotagroup01

この ID は、plarform という ID の管理グループ配下に quotaGroup01 という名前で作ったクォータグループのものです。

したがって、クォータグループを作成する際には、どの管理グループ配下に配置するかを決める必要があります。

また、クォータグループを利用して管理するサブスクリプションを選択します。

現状確認

作りたてのクォータグループには、クォータグループとしてのクォータが全くありません。

クォータグループのクォータを選択すると、各サブスクリプションが持っているクォータが一覧で表示されます。既存のクォータ画面は複数のサブスクリプションのクォータを一覧で表示できないので、これだけでもかなり便利な気がします。

不要なクォータの転送

とあるサブスクリプションで使っていないクォータを別のサブスクリプションに転送してみます。転送は、不要なクォータを不要なサブスクリプションからクォータグループに転送してからの、そのクォータをクォータグループから必要なサブスクリプションに転送するという2段階で行います。

まずは、1つ目のサブスクリプションが持っている東日本リージョンの Ddsv6 のクォータ50個を、クォータグループに返します。

すると、先ほどまで0だったクォータグループのクォータが50個増えました。

当然、クォータを転送したサブスクリプションのクォータは100から50に減っています。

その後、クォータグループから別のサブスクリプションにクォータを転送します。

そうすると、転送されたサブスクリプションのクォータが100から150に増えます。

クォータの一括取得

次はクォータの一括取得を試してみます。

上記2つのサブスクリプションは西日本リージョンの Esv3 クォータを100個持っています。このクォータを増やすときには、2つのサブスクリプション上でクォータ拡張の操作がそれぞれ必要です。また、クォータが自動拡張されない場合には、サポートリクエストを起票してサポートやり取りする必要があります。

クォータグループを利用する場合、クォータ拡張の操作はクォータグループのクォータ拡張1回だけですみます。万が一クォータが自動拡張されない場合もサポートリクエストは1回で OK です。

まずは、すべてのサブスクリプションで利用したいクォータを入力して、クォータグループのクォータを拡張します。成功すると、拡張した分のクォータがクォータグループに追加されます。

その後、追加されたクォータを各サブスクリプションに配ります。サブスクリプションのクォータを増やす形になりますが、ここの操作は利用者だけで実施できます。Microsoft の関与はありません。

まとめ

クォータグループを試しました。「仮想マシンを追加したいけどクォータが足りない。クォータを申請してもなかなか承諾されない。隣のサブスクリプションで空いているクォータを使えたらいいのに…」というピンポイントのお困りごとをしっかり解決する良い機能でした。