はじめに
「Azure の仮想マシンには色々な停止方法があるんだよ」というだけのエントリです。
4つの停止方法
仮想マシンの停止には powerOff と deallocate という2つの API が存在します。
powerOff と deallocate の違いは、仮想マシンの vCPU とメモリが解放された「割り当て解除」の状態になるかどうかです。powerOff は割り当て解除になりません。deallocate はその名の通り割り当て解除になります。
さらに、この powerOff には skipShutdown というオプションが、deallocate には hibernate というオプションがあります。これらのオプションこみで、仮想マシンの停止方法は次の4つになります。
- Power Off
- Power Off + skipShutdown
- Deallocate
- Deallocate + hibernate
それぞれの挙動を実際に確認しました。
Power Off
powerOff をオプション無しで実行する方法です。厳密には、オプションである skipShutdown を既定の false で実行する方法です。
この方法では、仮想マシンの OS はシャットダウンされます。そして、OS のイベントログにはシャットダウンされたことを示すログが記録されます。
The process C:\Windows\system32\svchost.exe (stoptest) has initiated the shutdown of computer stoptest on behalf of user NT AUTHORITY\SYSTEM for the following reason: Other (Planned)
Reason Code: 0x80000000
Shutdown Type: shutdown
Comment: Calling CleanShutdown by wvchelper
Reason for shutdown: Stop call
そして仮想マシンの状態は停止になります。OS は止まっているものの仮想マシンとしての料金が発生し続ける状態です。
> get-azvm -Name stoptest -ResourceGroupName test -Status | Select-Object Name,ResourceGroupName,@{Label="DisplayStatus"; Expression={$_.Statuses[-1].DisplayStatus}}
Name ResourceGroupName DisplayStatus
---- ----------------- -------------
stoptest test VM stopped
Power Off + skipShutdown
powerOff を skipShutdown つきで実行する方法です。skipShutdown を True にします。
この方法で停止すると、仮想マシンの OS はシャットダウンされません。OS から見ると、電源ブチで落とした状態になります。イベントログには、シャットダウンされなかったことを示す各種ログが記録されます。
The previous system shutdown at 11:59:52 AM on 12/12/2024 was unexpected.
The last shutdown's success status was false. The last boot's success status was true.
The system has rebooted without cleanly shutting down first. This error could be caused if the system stopped responding, crashed, or lost power unexpectedly.
Bastion で仮想マシンに接続した状態でこの方法を実行したところ、シャットダウンされたことを示す青い画面が表示されず、Bastion の接続がハングしました。
そして、仮想マシンの状態は停止になります。
> get-azvm -Name stoptest -ResourceGroupName test -Status | Select-Object Name,ResourceGroupName,@{Label="DisplayStatus"; Expression={$_.Statuses[-1].DisplayStatus}}
Name ResourceGroupName DisplayStatus
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stoptest test VM stopped
Deallocate
deallocate をオプション無しで実行する方法です。Azure Portal 上の「停止」ボタンはこの方法を利用します。
この方法で停止すると、仮想マシンの OS はシャットダウンされます。また、OS のイベントログにはシャットダウンされたことを示すログが記録されます。
The process C:\Windows\system32\svchost.exe (stoptest) has initiated the shutdown of computer stoptest on behalf of user NT AUTHORITY\SYSTEM for the following reason: Other (Planned)
Reason Code: 0x80000000
Shutdown Type: shutdown
Comment: Calling CleanShutdown by wvchelper
Reason for shutdown: Stop call
Bastion で仮想マシンに接続した状態でこの方法を実行したところ、シャットダウンされたことを示す青い画面が表示されました。
そして、仮想マシンの状態は割り当て解除になります。
> get-azvm -Name stoptest -ResourceGroupName test -Status | Select-Object Name,ResourceGroupName,@{Label="DisplayStatus"; Expression={$_.Statuses[-1].DisplayStatus}}
Name ResourceGroupName DisplayStatus
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stoptest test VM deallocated
Hibernate
deallocate を hibernate オプションありで実行する方法です。Azure Portal 上の「休止状態」ボタンはこの方法を利用します。
この方法で停止すると、仮想マシンの OS はシャットダウンされずスリープします。OS のイベントログにはスリープしたことを示すログが記録されます。
The system is entering sleep.
Sleep Reason: Application API
Bastion で仮想マシンに接続した状態でこの方法を実行したところ、シャットダウンされたことを示す青い画面は表示されませんでした。
そして、仮想マシンの状態は 割り当て解除（休止状態）になります。休止状態であっても割り当て解除であることに変わりはないため、仮想マシンの利用料金は発生しません。
PS C:\Users\ymatsumoto> get-azvm -Name stop3 -ResourceGroupName test -Status | Select-Object Name,ResourceGroupName,@{Label="DisplayStatus"; Expression={$_.Statuses[-1].DisplayStatus}}
Name ResourceGroupName DisplayStatus
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stop3 test VM hibernated
まとめ
仮想マシンの4つの停止方法をまとめました。それぞれの違いは次の通りです。
| 手段 | OS の状態 | 仮想マシンの状態 |
|---|---|---|
| Power Off | シャットダウンされる | 停止 |
| Power Off + skipShutdown | シャットダウンされない | 停止 |
| Deallocate | シャットダウンされる | 割り当て解除 |
| Deallocate + hibernate | スリープされる | 休止状態 |
Power Off や Power Off + skipShutdown を使うことはほぼないと思いますが、知っておくといざというときに役に立つかもしれません。
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