はじめに
特にアナウンスもなく、Azure Arc のポータルに Custom location なるものが増えていました。
Custom location を利用すると「Azure と同じように、エンドユーザは自社のプライベートコンピュートに対してリソースをデプロイできる」とのこと。あまりにも謎なので実際に試してみました。
Similar to Azure locations, end users within the tenant with access to Custom Locations can deploy resources there using their company’s private compute.
引用:Custom locations on top of Azure Arc enabled Kubernetes
事前準備
2021年4月現在、Custom location の設定には Azure CLI が必要です。そして3つの拡張機能を読み込む必要があります。
az extension add --name connectedk8s
az extension add --name k8s-extension
az extension add --name customlocation
さらに Microsoft.ExtendedLocation のリソースプロバイダが必要です。
az provider register --namespace Microsoft.ExtendedLocation
最後に、Kubernetes cluster を Azure Arc に接続して、Custom location の機能を有効化します。
az connectedk8s connect --name aks0427Arc --resource-group arcevaleastus
az connectedk8s enable-features -n aks0427Arc -g arcevaleastus --features cluster-connect custom-locations
この時点で kubernetes cluster には azure-arc の namespace に複数の Pod が起動します。
Custom location の作成
Custom location を利用したい Azure のサービスを kubernetes cluster に拡張機能としてインストールします。今回は Azure Arc enabled data service の拡張機能をインストールします。
az k8s-extension create --name arcdataservices --extension-type microsoft.arcdataservices --version "1.0.015564" --cluster-type connectedClusters -c aks0427Arc -g arcevaleastus --scope cluster --release-namespace arc --config Microsoft.CustomLocation.ServiceAccount=sa-bootstrapper
この時点で kubernetes cluster には arc の namespace に Pod が起動します。
そして、Azure Arc enabled kubernetes のクラスタとインストールした拡張機能を指定する形で Custom location を作成します。
az customlocation create -n "Japan-DC01" -g arcevaleastus --namespace arc --host-resource-id "/subscriptions/9c171efd-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxx/resourceGroups/arcevaleastus/providers/Microsoft.Kubernetes/connectedClusters/aks0427Arc" --cluster-extension-ids "/subscriptions/9c171efd-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxx/resourceGroups/arcevaleastus/providers/Microsoft.Kubernetes/connectedClusters/aks0427Arc/providers/Microsoft.KubernetesConfiguration/extensions/arcdataservices"
この作業によって、Azure Arc のポータルに Custom location が表示されます。kubernetes クラスタ上で動作する Azure Arc enabled data service を Azure 上から利用するために、kubernetes 上の namespace が疑似的なリージョンとして Azure に登録された形です。
Custom location を利用してリソースを作る
Data service を指定して Custom location を作成したので、Data service を作る際に Custom location を利用できるはずです。実際に試してみると、ポータルから Azure Arc enabled data service のコントローラをデプロイする際に、Custom location を選択できました。利用者から見ると、Azure のリソースをデプロイする際にリージョンを選択するのと同じ感覚で、Azure 外で動いている Kubernetes クラスタを選択できます。
Azure ポータルでデータコントローラを作る際に Custom location を選択したので、Custom location を作る際に指定した Kubernetes クラスタの arc という namespace に Azure Arc enabled data service のコントローラがデプロイされました。
同様に、Azure Arc enabled SQL Managed Instance を作る際にも Custom location を選択できました。
データコントローラと同様、Custom location を作る際に指定した Kubernetes クラスタの arc という namespace に Azure Arc enabled SQL Managed Instance がデプロイされました。本当はクラスタの外部から SQL Managed Instance にアクセスできるようにするために サービスに External IP が割り当たらなければならないのですが、現時点では割り当たらないようです。多分不具合でしょう。
まとめ
Custom location を試しました。Custom location とは、Azure Arc に接続している環境に対して Azure 上の名前を付けることで、この環境を他の Azure サービスに対してリージョンのように見せる機能のようです。Azure ポータルで Custom location を指定してリソースをデプロイするだけで、Kubernetes クラスタにリソースができあがったのが印象的でした。「Azure の管理とサービスをすべての場所に展開する」という Azure Arc のビジョンに適した仕組みだとおもいます。