Azure Lighthouse を試した

azure
Published: 2019-07-13

はじめに

Azure Lighthouse が発表されました。自分のリソースの管理を他の AAD に委任できるサービスです。リリースのアナウンスでは MSP がサービス提供するシナリオが強調されていますが、MSP でなくても利用できるサービスです。シンプルな設定で動作を確認した結果をメモします。

Introducing Azure Lighthouse

委任される側の作業

まずは、委任される側のサブスクリプションで委任先を作ります。ドキュメントを読む限りだと次の3つが委任先の対象のようです。

  1. Azure AD のグループ
  2. Service Principle
  3. Managed Identity

今回は Azure AD のグループを利用します。Azure AD のグループを作って、権限を委任されるユーザをグループに追加します。また、後続作業で必要になるので、グループのオブジェクト ID を控えておきます。

委任する側の作業

管理を委任する側で必要な作業は次の2つです。

  1. ManagedServices リソースプロバイダの登録
  2. 委任先の登録

1. Managed Services リソースプロバイダの登録

まずは Managed Services リソースプロバイダを追加します。今回はポータルからぽちっとしました。

Managed Services リソースプロバイダ

2. 委任先の登録

次に、委任先を登録します。委任の単位はサブスクリプションとリソースグループです。今回はサブスクリプション単位で権限を委任します。委任の単位によって利用する ARM テンプレートが違うので注意が必要です。

Create an Azure Resource Manager template

委任する権限を RBAC で指定する必要があります。今回は Contributor(b24988ac-6180-42a0-ab88-20f7382dd24c)の権限を委任します。

パラメータを指定する json で入力するする項目と意味は次の通りです。

項目 意味
mspName 委任先の組織を識別する名称
mspOfferDescription 委任先となる組織の説明
managedByTenantId 委任先の AAD のディレクトリ ID
principalId 権限の委任先となる対象の ID
principalIdDisplayName 権限の委任先の名称
principalIdDisplayName 委任する RBAC の ID

今回は次のようなパラメータを利用しました。

{
    "$schema": "https://schema.management.azure.com/schemas/2018-05-01/subscriptionDeploymentParameters.json#",
    "contentVersion": "1.0.0.0",
    "parameters": {
        "mspName": {
            "value": "aimless-msp" 
        },
        "mspOfferDescription": {
            "value": "aimless-msp by mvp subscription"
        },
        "managedByTenantId": {
            "value": "xxxxxxxx-xxxx-443f-91e0-xxxxxxxxxxxx"
        },
        "authorizations": {
            "value": [
                {
                    "principalId": "cf083731-74bb-41cb-a9fb-70a4414bf9e2",
                    "principalIdDisplayName": "Tier 1 Support",
                    "roleDefinitionId": "b24988ac-6180-42a0-ab88-20f7382dd24c"
                }                
            ]
        }
    }
}

動作確認

委任元

委任する側の作業が完了すると、委任する側のサブスクリプションの Service Providers > Service providers offers に、登録した委任先が表示されます。AAD のテナント ID から自動的に取得したテナント名が表示されるようなので、委任元に見られても恥ずかしくないテナント名にしましょう。

Service providers offers の表示

そして、Service Providers > Delegations にどのリソースがどの権限を委任しているかが表示されます。

Delegations の表示その1

Delegations の表示その2

委任先

委任する側の作業が完了すると、委任先のサブスクリプションの My customers > Customers に委任された顧客が表示されます。

Customers の表示

そして、My customers > Delegations にどの顧客のリソースをだれがどの権限で委任されているかが表示されます。

Delegations の表示その2

Delegations の表示その2

委任された側の Azure ポータルでは、自分のリソースと同じように委任されたリソースが表示されます。MVP のサブスクリプションに紐づく Function App が自分のリソース、PAYG に紐づく Function App が委任されたリソースです。

自分のリソースと委任されたリソース

今回は Contributor 権限を委任されていますので、委任された Function App の設定を自分のポータル上で操作できます。

委任されたリソースの設定を変更できる

表示されない場合は、Global subscription filter で対象を絞っている可能性があります。委任されたリソースの AAD も表示するようにしましょう。

Global subscription filter の表示

まとめ

Azure Lighthouse を動かしました。夢が広がるサービスですね。大量の別 AAD テナントに対して同一のサービスを提供するシナリオにおいては神のようなサービスだと思います。Microsoft が MSP での利用を猛プッシュしているのは納得できます。

また、何かしらの理由で一つの組織が大量の AAD を利用しているケースで、Azure のリソースの集中管理を目指すシナリオでも利用できそうだなと思いました。Azure リソースのガバナンスを実現する仕組みを1つの AAD のみに用意して、Lighthouse による委任を利用して他の AAD の Azure リソースに適用していけば、管理しやすくスケールする実装になりそうです。